自分や身近な人が困らないための、エンディングノート。
話題を耳にしたことはあっても、「まだ元気なのに必要?」「縁起が悪いのでは?」と疑問や抵抗を抱く人もいるかもしれません。
今回はエンディングノートの概要や大切な理由、書く際の注意点を紹介します。
自分や大切な人にとって重要かどうかの判断材料に役立ててみてください。
目次
エンディングノートとは?
エンディングノートは、人生の最終章や死後に備えて記した情報を大切な人に伝えるツールです。
終活の取り組みで作成されるケースが多く、終活ノートと呼ばれることもあります。
一般的には介護・終末期医療・葬儀に関する希望、大切な人への思いなどが記されますが、内容に決まりはありません。
書き始める年齢も、何に記すかも自由です。
エンディングノートには、自治体などが無料配布するものや市販品があります。
紙だけでなくスマートフォンアプリでも作成できるなど、自分にとって扱いやすい方法が選べますよ。
もちろん、自分だけのオリジナルノートを一から作ることも、ひとつの手段です。
エンディングノートが重要だとされる5つの理由
エンディングノートが大切な理由は、主に5つあります。
①もしものときの意思表示ができる ②家族にとっても選択や諸手続きの助けになる ③終活でやるべきことが見えてくる ④人生設計を見直すきっかけになる ⑤暮らしの備忘録としても役立つ
それぞれ詳しく解説するので、エンディングノートの具体的な役割をイメージしてみてください。
①もしものときの意思表示ができる
エンディングノートがあれば、万一の場合でも意思や希望をはっきり伝えられます。
たとえば医療・介護に関する意思表示です。
延命治療を望むか、具体的に受けたい治療はあるのかといった医療の希望は、意識のない状態で伝えられません。
病気・事故など、思いもよらない場面に備えて意向を示すことは、大切といえます。
また将来、介護が必要になっても自分らしく生活するためには、施設の希望有無などを明確にする必要があるでしょう。
エンディングノートでは、自分の葬儀に関する意思も記せます。
たとえば家族葬・一般葬などのお葬式の種類や場所、参列してほしい知人といった内容です。
そのほか、ペットやデジタル情報に関する希望なども、自由度高く伝えられますよ。
いつか訪れる最期まで意思が尊重されるためには、重要なツールといえるでしょう。
②家族にとっても選択や諸手続きの助けになる
家族のサポートに役立つことも、エンディングノートが重要な理由です。
病気や事故などで意思表示できなくなった際、治療の判断が家族に委ねられることがあります。
エンディングノートに意思が書き記してあれば、家族にとって貴重な判断材料になるでしょう。
また人が亡くなった際には、相続や年金、銀行口座、クレジットカード、携帯電話など、多くのことに関する手続きが必要です。
エンディングノートがあれば資産・契約情報をまとめて把握できるため、諸手続きに必要な内容をあちこち探す負担がありません。
家族を大切に思いながら作ったエンディングノートは、いわば贈り物です。
「全資産が把握できず相続でもめた」など、家族間の思わぬトラブルを避けるためにも役立つでしょう。
③終活でやるべきことが見えてくる
終活の一環としてエンディングノートを作成すると、これからやっておきたいことが明確にできます。
特に財産や情報の生前整理には、エンディングノートが役立ちますよ。
たとえばエンディングノートにすべての銀行口座を記入し、いくつ持っているのか再認識できたとしましょう。
自分の死後、家族が手続きする負担を減らすためには、使う可能性のない口座は解約しておきたいところです。
銀行口座のほか、クレジットカードや民間の加入保険も同様に、見直すきっかけになるでしょう。
また近年、SNSや定額サービス、ネットショッピングなど、アカウントを登録する機会が増えました。
自分が持つアカウントをエンディングノートで整理することで、不要なものが見つかる可能性もあります。
④人生設計を見直すきっかけになる
エンディングノートの作成は、今後の生き方を考える機会にもなります。
自分史のように活用すれば、価値観や人生の優先順位が再確認でき、新たに学びたいことや行きたい場所、体験したいことなどが明確になるでしょう。
また資産情報のまとめに使うことで、家計や資産形成の見直しにも役立ちます。
将来のためにあとどれくらい必要か、家族にどの程度残せそうかなどの具体的な数値がわかれば、これからのライフプランも立てやすいですね。
エンディングノートは単に人生の終わりに向けた準備をするだけでなく、人生をよりよくするためにも重要といえます。
⑤暮らしの備忘録としても役立つ
エンディングノートは、日常生活でも備忘録として重宝します。
突然の事態や緊急時に対処するための情報が1か所にまとまっていると、スピーディかつ効率的に解決を目指せますよ。
たとえば銀行やクレジットカード会社の連絡先、口座番号、カード番号などをエンディングノートに記載しておくと、財布を紛失したときにも便利です。
カードの即時停止や必要な再発行手続きが迅速にできるでしょう。
保険情報や家電・設備の取扱説明書、保証書、修理業者の連絡先などもエンディングノートにまとめておくと、家のメンテナンスや突発的なトラブルへの対応もスムーズです。
エンディングノートを活用するときの注意点は?
エンディングノートは、終活をスムーズに進めるための有効なツールです。
しかし利用にあたっては、いくつか注意点があります。
予期せぬトラブルを避け、エンディングノートを最大限に活用するために、3つのポイントを押さえましょう。
法的効力はない。遺産相続の希望は遺言書に記そう
エンディングノートは法的効力を持つ文書ではないため、遺産相続に関して希望がある場合は遺言書の作成が必要です。
遺言書とは、財産を誰にどれくらい渡すのかを伝えるための文書。
決まった形式に則って作成されたものは、法的拘束力を持ちます。
一方、エンディングノートは非公式な文書ではあるものの、財産以外のことも幅広く自由に記載できる点が強みです。
相続の希望に関しては遺言書、家族・友人へのメッセージや葬儀・医療・介護などの意思表示はエンディングノートと、使い分けるとよいでしょう。
悪用防止のため慎重に管理する
エンディングノートには個人の大切な情報が含まれるため、管理方法に工夫が必要です。
たとえば、暗証番号・パスワードなどの重要な情報はエンディングノートに記載せず、別のメモに残しておく方法があります。
エンディングノートの存在を信頼できる人に伝えておき、引き出しなどの保管場所を共有するのもよいでしょう。
なお、自分だけが開けられる金庫に入れることは、おすすめできません。
もしもの場合に家族がエンディングノートを確認できず、せっかく書いた希望や思いが届かないためです。
家族とも相談しながら、いざというときにアクセスしやすい管理場所を見つけましょう。
変更があれば都度修正を。1年に1度は見直しする
エンディングノートは書いて終わりではなく、変更があればその都度修正することがポイントです。
時間の経過とともに意思や状況は変わる可能性があるため、その時々の情報を反映することが望ましいといえます。
タイムリーな修正が難しい場合は、年1回を目安に見直してみましょう。
変更した際には日付をノートの右上に書くなど、変更履歴を入れることもおすすめです。
自分の意思を正確に伝えるために、見直しを癖付けしてみてください。
エンディングノートは「自分らしく生きる」を導く大切なツール
自分らしく生き、そして自分らしく旅立つための道しるべになる、エンディングノート。
人生の優先順位を見つめ直し、より充実した日々を送るためにも大切なツールです。
またいざというとき、自分の代わりに家族が重要な選択を迫られた際にも、支えになるでしょう。
とはいえ自分自身の終末について考えると、気分が落ち込んだりすることがあるかもしれません。
無理をして一気に完成させる必要はなく、書けそうな部分だけを記入する方法でも十分です。
自分のペースで少しずつ、必要な項目を充実させてみましょう。
なお弊所では、丁寧なヒアリングを行いながらエンディングノートの作成をサポートしております。
記載に行き詰まってしまった場合や、どう書き始めたらよいかわからない場合など、どうぞお気軽にご相談下さい。
相談先:080-2116-8087 または info@suzume-gyosei.com まで。
すずめ行政書士事務所